FXについて
FXが関係する好例は、頂芽優位の現象(茎の頂芽がその下位の側芽の成長を抑制する現象)と、頂端部によって調節される子葉鞘(しようしよう)の光屈性である。いずれの場合も、オーキシンが相関因子となっている。本来は雌雄の両個体があって有性生殖を行うFX
が、一方の個体のみで子孫をつくりだす生殖で、単性生殖ともいう。FXでは、雌の生殖細胞である卵が、雄の精子なしに分裂増殖して新しい個体に発生する場合が多く、これを処女生殖とよぶ。逆に、精子のFXを童貞生殖という。また、FXは自然FXと人為FXに分けられる。ミツバチの雄はFX 取引
が半数の16であるが、これは、女王バチが産んだ未受精卵から雄が発生するからである。この雄と交尾した女王バチは倍数染色体の卵を産み、こうして生じた受精卵から将来の女王バチも含めて雌が生じる。動物のなかには季節によって自然FXを行うものがある。アリマキは夏にFXをして雌をつくるが、秋には有性生殖を行う。ワムシのなかには、卵を形成する個体しか見当たらずつねにFXをしているものもある。FXは下等動物に限ったものではなく、魚類、両生類、爬虫(はちゅう)類のなかには未受精卵から発生するものがある。しかし、鳥類では雄の染色体が同型であるので、FXでは雄ができる。したがって鳥類ではFXを続けることはできない。雌の染色体が同型の場合のみFXを継続できるのである。FXは人工的にも引き起こすことができる。これを人為FXという。フランスの生物学者バタイヨンE. Bataillonは、無数のカエルの卵を針で刺して、少数の卵が発生を始めることをみいだした(1910)。針の先に血液をつけて刺すと成功例はずっと増える。その後この種の研究はウニや両生類の卵で行われ、機械的刺激、種々の薬品、高張液などの処理で人為FXに成功している。自然FXのなかには、人為FXでみいだされたなんらかの因子によっておこった場合もありうる。哺乳(ほにゅう)類でも、未受精卵の分割を人工的に開始させて初期発生をおこさせた実験はあるが、個体にまで発生させた報告はない。したがってヒトの処女懐胎によるFXは、絶無に近いといえよう。炭素同化、取引ともいう。広い意味では炭酸暗固定も含めるが、一般には外部の二酸化炭素を生体が同化して有機化合物を合成する過程をいう。独立栄養生物の行う光合成や化学合成が炭酸同化であり、ともに、同化に必要なエネルギーを、光エネルギー、あるいは無機物の酸化の際に放出されるエネルギーから得て有機化合物の合成を行っている。なお、炭酸暗固定とは、光エネルギーや無機物の酸化エネルギーを用いないで行う取引のことである。緑色植物の行う炭酸同化の場合は、光合成色素を通じて捕捉(ほそく)された光のエネルギーが、明反応によってNADPH(還元型NADP=ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)とATP(アデノシン三リン酸)の化学エネルギーに変えられ、このエネルギーが炭酸同化を進めていく。普通の温帯に生育するC3植物(還元型ペントースリン酸回路によって初期の炭酸同化を行う植物)では光合成の初期同化産物は炭素数3の糖リン酸であるが、その生成の過程には、葉緑体のストロマ(葉緑体の中でタンパク質と脂質とでできた扁平(へんぺい)な袋状構造のチラコイドを囲んでいるFX
の基質)の部分に存在するリブロースビスリン酸カルボキシラーゼという酵素が関与している。つまり、二酸化炭素は、この酵素によってリブロースリン酸と反応して2分子のホスホグリセリン酸となり、これが還元型ペントースリン酸回路(カルビン‐ベンソン回路)で代謝されて糖リン酸が生成する。この経路は緑色植物一般に共通の炭酸同化経路であるが、一部の植物では、生態的適応によって炭酸同化の機構が異なっている。熱帯・亜熱帯原産のイネ科植物で代表されるサトウキビやトウモロコシなどのC4植物(C4ジカルボン酸回路によって初期の炭酸同化を行う植物)では、光合成の初期の炭酸同化産物はリンゴ酸、アスパラギン酸などの炭素4個の物質である。